日本の親は「ありふれた漢字だけどユニークな読み方」の名前をつけるようになった.そのことは個人主義の程度と正の相関を持っている

2016/04/02 22:04 に Asako Miura が投稿   [ 2016/04/02 22:05 に更新しました ]
Ogihara, Y., Fujita, H., Tominaga, H., Ishigaki, S., Kashimoto, T., Takahashi, A., Toyohara, K., Uchida, Y. (2015). Are common names becoming less common? The rise in uniqueness and individualism in Japan. Frontiers in Psychology.

われわれは,日本文化がより個人主義的になってきたかどうかを,赤ちゃんへの名付け方の時系列変化を調査することによって検討した.文化心理学は,人間心理と行動において本質的な文化差があることを示し,それらは社会文化的環境と心の相互構成物であることを強調してきた.しかし,先行研究のほとんどは文化が変容しているという事実を考慮していない.実際,行動のアーカイバルデータ(例・離婚率)を見ると,アメリカと日本において個人主義傾向が強まっていることが示唆される.アーカイバルデータに加えて,文化的所産(例えば広告など,個人の心や行動が頭の外に出てきたもの)もまた文化的変化を示しうる.しかし,東アジアでこうした文化的所産を用いて個人主義の変化を検証した研究はほとんどない.もし日本文化がより個人的になっているとすれば,親は自らの子どもにユニークな名前をつけたいと考えるだろう.われわれは2つのデータベースを用いて,2004年から2013年までの「赤ちゃんの名前人気ランキング」を計算し,サンプル内でその率を比較した.日本人の名前には一般に漢字が用いられるが,読みと書きは種々異なるので,両者は別々に分析した.その結果,人気のある「書き」漢字の率は上昇する一方で,人気のある「読み」の率は減少していた.先行研究以来妥当だとされてきた集団主義指標と関連があったのは人気のある「読み」の率のみであった.さらに,一般的な「書き」漢字の組み合わせがもつ「読み」のバリエーションと,一般的な「読み」がもつ「書き方」のバリエーションを検証した.その結果,書き方のバリエーションが減る一方で,読み方のバリエーションは増えるという時系列変化が示された.つまり,親は自らの子どもに「一般的な漢字(書き)による一般的でない発音(読み)」を与えていることが示され,これは日本における個人主義の上昇を示す知見である.

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