第442回KSP(関西社会心理学研究会)

2017/03/12 15:37 に Asako Miura が投稿
2017年3月11日に開催された第442回KSP(関西社会心理学研究会)で,科研費研究の成果報告を中心とする研究発表を行いました.

【日時】 2017年3月11日(土)14:00~17:30
【場所】 関西学院大学 大阪梅田キャンパス 14階 1408教室

【発表題目】直接的追試を複数繰り返すことの有用さと困難
【発表者】 藤島喜嗣(昭和女子大学)・樋口匡貴(上智大学)
【発表概要】
 社会心理学研究の再現性が問題になっており、追試の重要性が指摘されている。たとえば、「社会心理学研究」誌で早期公開された石井・竹澤(2017)が、Ames(2004)の追試を複数回行い、知見の再現性を議論している。同様に、藤島や三浦はFujita et al. (2006)の直接的追試を行い、少なくとも3つの実験データを得ている。それぞれの結果は、仮説支持の方向1件と仮説と正反対の結果2件であり、実験単独の結果からは再現性に対する結論は下せない。これらの事例が示唆することは、メタ分析的視点に基づいて再現性を議論することの重要性であり、(1) 強い検定力を保証した (2) 直接的追試を(3)相当数繰り返し実施することの必要性である。
 上記を実現するためには、マテリアルとデータの共有といった研究のオープン・サイエンス化と、あらゆる追試データの保存と公開を促進する事前登録(Preregistration)が欠かせない。この方法論は、文化差研究を考える上でも示唆的である。同一手続きで日米比較をする時に、各文化で実験を1つずつするだけでは不十分であることを示唆しており、文化心理学の進展にも寄与するはずである。
 その一方で、強い検定力を保証した直接的追試を複数繰り返すことは、多くの労力を要する。学部生を含めた研究室プロジェクトは教育的効果も期待できるが、相応の困難が存在する。樋口らの研究室での取り組みは、学生の積極的関与が認められるときにこそ直接的追試が困難になるという問題に直面した。さらには、有限な労力をどのようなトピックに割くべきかという問題にも直面している。社会心理学において追試すべき「巨人の肩」はどれなのか、再現性を確認しておく必要のある研究とない研究をどう考えるのか、「社会心理学」という研究領域としてどんなトピックが重要なのかに関して明確な指針は存在しない。
 今回の報告を通じて、社会心理学の科学性を再現性を担保するための苦闘ぶりと、今後どのように研究を進めるべきかについて議論ができるとうれしい。そもそも再現性を担保する必要等ないという議論もあるかもしれない。そのような「そもそも論」も歓迎する。

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